海洋インバースダム構想とは?
目的と背景
わが国の長期エネルギー政策の下では、地球温暖化問題への対応や安全保障に深くかかわるエネルギー自給率向上の観点から、再生可能エネルギーの利用拡大が期待されています。再生可能エネルギー導入はFIT (固定価格買取り制度)により太陽光発電を中心に急速な拡大が図られましたが、狭小な国土と森林伐採等の制約があり効率の高い洋上風力に期待が高まっています。わが国の再生可能エネルギーを主力電源とするには、海洋の利用が必須条件です。特に豊富な再生可能エネルギーを持つEEZ (排他的経済水域)の利用はわが国の電力需要を賄うに十分なポテンシャルを持っています。海洋インバースダム協会は文理融合的に研究開発を進め、産官学が力を合わせて洋上のあらゆる再生可能エネルギーの利用拡大に電力蓄積技術とマイクロ波電力伝送技術を戦略技術として取り組んでまいります。
協会活動の目的を以下にまとめます。
- 広大なEEZの利活用と電力事業の国際競争力向上
- フロー型エネルギー社会の実現と完全自給率の実現
- 無人海上交通を用いた物流革命と絶対安全性の確保
- 21世紀型海洋産業の創造と発展
- 海洋生物多様性の保護と水質浄化力の活性化
地球温暖化に貢献する再生可能エネルギーの最弱点は時間的な不安定さがあげられます。
この問題を洋上で解決する[海洋インバースダム]は電力の平準化と蓄積に優れた能力を示し、再エネ発電システムに必須である事はいうまでもありません。さらに地震や津波に対してより強靭であることは優れた信頼性を持つシステムを構築することが期待できます。しかしながら豊富な再生可能エネルギーを持つわが国のEEZ は大陸棚が狭いため一般的には大深度と言えます。従って電力の陸地への搬送には[マイクロ波電力伝送]の利用が工事やメンテナンスを考えると有線に比較して圧倒的に有利であるといえます。技術の成熟とコスト低減を目指してこれらの二つの技術の研究開発を核にシステム実現に向け前進していきます。
研究開発体制
再生可能エネルギー導入を考える際にまずその基本的性質が化石燃料との根本的差異を認識する必要があります。前者のエネルギー源は現在の太陽活動であり、後者は過去数千万年に亘って太陽エネルギーが地球に降り注いだ結果の遺産と言えます。産業革命まではその時々のフローエネルギーを使って生活が成り立ってきました。突然の石油(ストック)文明がこのバランスを壊し始め、物質循環に変化をもたらし、分解しない物質の出現や循環の出発物質に欠如が生じました。その結果生態系バランスに影響を与え始めました。化石燃料使用によるGHG(温室効果ガス)は大気成分に有意な変化を生じ気候変動と自然災害に繋がりました。
私たちはサステナブル社会の恩恵を受けられない状態になりつつあります。決定的な方策は現在の太陽エネルギーの恩恵の範囲で暮らすことです。これはフローエネルギーの地球で再び世界を動かすことにほかなりません。(太陽-地球-宇宙エネルギーバランスモデル)
社会科学・自然科学の多くの視点から地球環境と自然エネルギーの関係を見直し再エネ政策に関する研究開発を進める必要性を感じます。私たちの研究開発体制を示します。